THE KING OF FIGHTERS XIII

発売機種発売日発売元価格
業務用(TAITO Type X2)2010年7月14日稼動開始コナミデジタルエンタテインメント298000円
家庭用

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メインストーリー / ■女性格闘家チームストーリー / ■極限流チームストーリー
システム / ■コラム(アーケード版→家庭用でのユリの変更点)
必殺技コマンド / ■対戦前掛け合い(ユリ対全キャラ) / ■勝利メッセージ / ■敗戦メッセージ
■ストーリーデモ(ステージ3終了後)/(ステージ6終了後)/(ステージ7終了後)/(最終ステージ終了後
すべてのチームエンディング / ■女性格闘家チームエンディング / ■極限流チームエンディング
「春の朝(あした)」(アッシュ・クリムゾン トゥルーエンディング)

メインストーリー

 紫苑の投じた槍に貫かれて禍忌はその命を落とし、次元の裂け目に紫苑は消えた。
 だが、ハイデルン率いる調査部隊の活躍をあざ笑うかのように残る眷属たちが姿を現す。
 彼らの語る「遥けし彼の地」とは。
 オロチの力を執拗に求めるのは何故なのか。

 一方、八神庵を倒したアッシュ・クリムゾンは、エリザベートの制止を振り切り、神楽に続いて八神庵の「力」を手に入れる。

 八咫が破れ、八尺瓊が堕ちた。
 三神器にただひとつ残された草薙の剣。
 しかし、活性化したオロチの力に支配された八神によって、草薙京もまた深手を負い、倒れていたのである。

 ※ ※ ※

 時が巡った。
 相次ぐアクシデントに見舞われ、開催が危惧されるKOF。
 ところが、何者かの強引な推進により、遂にKOFは史上空前の規模で執り行われることとなった。
 世界各地を舞台とし、空前の規模で開催される異種格闘技大会。
 かつてない絢爛たる彩りに過熱する報道。

 そして実力者たちに招待状が届く。

 その差出人は…… 「R」!

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女性格闘家チームストーリー

「ゆずってあげたのよ!」

 と、不知火舞は力説した。
 ロンドンのナイツブリッジにある百貨店は、世界的な景気の後退も何処へやら、人種も性別も様々な人々が買い物を楽しんでいる。もちろん彼女たちもそうした人間の一人だった。

「――そうよ、ゆずってあげたのよ。取られたんじゃなくてゆずってあげたの」

 ひとまず買い物を終えてティールームに席を確保した舞は、紅茶の香りを胸いっぱいに吸い込み、ほっと溜息をついて大仰に頷いた。それはまるで、自分自身を無理に納得させるかのようだった。

「そっかー、テリーさんたち、結局いつものチームに戻ったんだね」

 とぽとぽとカップに紅茶をそそぎ、ユリ・サカザキが呟く。舞は頬杖を付き、冷ややかに笑った。

「ま、テリーはともかく、どうせあのパンツ男にはほかにチームを組んでくれそうな知り合いなんていないだろうし、せっかくのカムバックなのに参戦できないんじゃ可哀想だしね」

 間もなく“キング・オブ・ファイターズ”が開催される。世界屈指の格闘家たちが集まる大会は、その激闘の数々はもちろんのこと、誰が誰とチームを組むかということも大きな話題のひとつであった。正式なトーナメント表が発表されるまでは、ファンの興味はほぼその一点に集中するといっても過言ではない。
 くだんの不知火舞も、KOFの舞台に久々に帰ってくるに当たっては、当然のようにアンディ・ボガードとのチーム結成を第一に考えていた。
 しかし、これもまた当然のように――舞にとってははなはだ口惜しいことに――一言のもとに却下されていた。アンディいわく、久しぶりのKOFには、初心に戻ってテリーやジョーたちとのチームで臨みたいから、ということらしい。
 ティーカップをソーサーに置き、ユリは安堵の笑みを浮かべた。

「――でも、わたし的にはちょっとラッキーだったかな」

「え? なにがよ?」

「だってほら、こっちはもう、おにいちゃんたちとは別のチームで出場するって決めちゃってたし、これでもし舞ちゃんフリーじゃなかったら、今回はエントリーできなくなってたかもしれないじゃない?」

「それもそうね。……あ、エントリーといえば、キングさん、ちゃんと手続きしてくれたのかしら?」

「あたしがどうしたって?」

「あ、キングさん♪」

 いつの間にか舞の後ろに、シックなジャケットをスマートに着こなしたキングが立っている。

「ハイ、おふたりさん」

 キングはカウンターにカフェオレをオーダーし、空いている椅子に腰を降ろした。遠目にはほっそりとした美男子のように見えるかもしれないキングだが、近くで見れば、その美貌は隠しようもない。実際、周りの席の男たちは、唐突に現れた男装の麗人に目を奪われている。
 ソフト帽を脱いで膝の上におき、キングは目を細めた。

「――あれ? 髪切ったのかい、ユリ?」

「あ、気付いてくれました?」

「ふぅん……ショートも似合うじゃないか」

「えへへ……これを機に、わたしもキングさんみたいなオトナのオンナを目指してみよっかな〜♪」

「な〜にいってるのよ、ユリちゃん」

 はにかんだ表情で頭をかいているユリを、頬杖をついた舞が冷ややかに見やった。

「髪を短くしたからってオトナになれるわけじゃないでしょ? だいたい、大和撫子なが長い黒髪が一番なんだから」

「わたしアメリカ人だも〜ん」

 舞の言葉にすかさず交ぜ返したユリは、はたと何かに気付いたように、バッグの中から1冊の雑誌を取り出した。

「――そうだ、ぜんぜん関係ないけど、キングさん、ちょっとこの雑誌読んでくれません? パリでトランジットの時に見かけてつい買っちゃったんだけど、わたし、フランス語はさっぱりで……」

「なんだい?」

「これこれ、この記事!」

「ふん……?」

 派手な表紙を一瞥し、キングは眉をひそめた。

「KOFに参戦が予想される注目の美女……?」

「そうなの、どうも今度の大会に参戦する女性格闘家の特集らしいんだけど――」

「え? それっておかしくない?」

 舞はぱちりと音を立てて扇子を閉じ、不服そうな声を上げた。

「――わたしのところには取材なんて来てないわよ? そんな特集が組まれてるなら、真っ先にわたしたちのところに来るのが普通じゃない?」

「わたしんところにも来てないのよね。……キングさんのところには?」

「いや、ウチにも来てないよ」

「ちょっとちょっと、わたしたち元祖女性格闘家チームを差し置いて、いったい誰のところに取材に行ってるわけ?」

「えっと……香澄ちゃんとか、シャンフェイちゃんとか、あのまりんって子とか――でも、一番ページが多くてクローズアップされてるのは、ほら、イギリスの大富豪のお嬢様の」

「ジェニーかい?」

「そうそう!」

「ジェニーって……ああ、あのハイヒールで人をひっぱたく露出過多の野蛮な女?」

 舞の言葉には明らかに毒が混じっている。ユリは苦笑混じりに肩をすくめ、チームメイトをたしなめた。

「あのさ、舞ちゃん……ハイヒールはともかく、舞ちゃんが他人の露出度のことをとやかく言えないと思うんだけど」

「わたしはいいの! あれは先祖伝来の由緒正しい衣装なんだから! ――それよりキングさん、なんて書いてあるわけ?」

「えーっと……」

 カフェオレをすすり、キングは特集記事に目を通した。

「……これはあれだね、何というか――女性格闘家の、世代交代というか」

「は? 世代交代?」

「新世代の格闘女王は誰だ、みたいな感じで組んである特集だよ。インタビューを読む限り、ジェニーもKOFに出場する気みたいだね」

「出場する気って……え? まさか、女の子ばっかりのチームじゃないわよねぇ?」

「いや、そのつもりらしい発言をしてるね。このインタビュー時点では、まだエントリーを締め切ってなかったようだから、はっきりと誰と組むとは明言してないけど」

「へー、それって何だか面白そうじゃない。ね、舞ちゃん?」

 紅茶にミルクを垂らし、ユリは上目遣いに舞を見やった。その唇が、悪戯っぽく吊り上がっている。

「考えてみればそうよね……もし本戦で当たるようなことがあれば、世界数億人の視聴者の前で、どっちが真に最強の美女軍団かってことを証明できるわけだし」

「あ、でもそれ以前に、この子たち本戦に出てこられなかったりして」

「あー、ありえるかも! 急造チームなんかで勝ち抜けるほど甘くないもんね、KOFって」

「そうだよね〜♪」

「何を言ってるんだか……」

 手に手を取り合ってにやにや笑っている舞とユリを見やり、キングは小さく咳払いをした。

「あんたたち、調子に乗ってると思わぬところで足をすくわれるよ?」

「だってぇ……」

「キングさんは頭にこないわけ、こんな記事書かれてるのに?」

「別に」

 雑誌を閉じてユリにつき返し、キングはカフェオレを飲み干した。

「――よそのチームが何を言おうと誰が何を言おうと、そんなこと関係ないね。わたしはただ、すべての試合で全力を出すだけさ」

「それは……わたしたちだって、もちろんそのつもりですけど」

「じゃあいいじゃないか。……それよりほら、行くよ」

 キングは立ち上がって天上を指差した。

「え? 行くってどこに? キングさんのお店に行くんじゃないの?」

「その前に、ここでドレスでもオーダーしてこようかと思ってね」

「ドレス!?」

 舞とユリは顔を見合わせて素っ頓狂な声を上げた。

「どうしてドレスなんか――」

「そうよ、ふだんキングさん、ドレスなんて着ないじゃない」

「確かにそうだけどね」

 年下のチームメイトたちを肩越しに振り返り、キングはぱちんとウィンクした。

「――祝勝パーティーには、それなりにきちんとした恰好で出たいじゃないか」

「祝勝パーティーって……」

 呆然とその言葉を反芻した舞は、時間差で小さく噴出し、口元を扇子で隠してユリにささやいた。

「キングさん、あんなこといってたけど、ばっちり意識してるじゃない、さっきの記事!」

「うんうん、要するに、他のチームには絶対負けないってことでしょ? キングさんらしい必勝宣言ていうか―」

「そこのふたり! もたもたしてると置いてくよ! それとも、あんたたちは新調しなくていいのかい?」

「あ! 行きま〜す!」

 ふたりは買い物袋を持って慌ててキングを追いかけた。

「――どうせだから、今からパーティー会場押さえちゃいます? ほら、サウスタウンのリチャードさんのお店とか」

「そうだね、ウチの店でパーティーっていうんじゃ、わたしが今ひとつ楽しめないし」

「あそこだったらちょっとくらい騒いでもそんなに怒られないよね。……たぶん」

「わたしの店で騒がれなきゃ、どうだっていいさ」

「キングさん、けっこうヒドーい!」

 長いエスカレーターに乗って、かしましい女達が階上へと上がっていく。
 彼女達がふと窓の外を見ると、夕日に暮れなずむロンドンの空に、茜色に輝く飛行船が浮かんでいた。

“キング・オブ・ファイターズ”――。

 史上最大の規模で開催される格闘の祭典は、もう間もなくだった。

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龍虎の拳チームストーリー

 その日タクマ・サカザキを驚愕せしめたのは、ほかならぬタクマの愛娘、ユリ・サカザキであった。

「ユリ!? どうしたことだ、それは!?」

「え?」

 道着の帯を締めていたユリが、かすかに震える父の声に顔を上げた。

「――どうしたの、おとうさん?」

「どうしたの、ではない! その髪! それはいったいどういうことだ!?」

「ああ、これ?」

 背中の中ほどまであったはずのユリの髪が、今は肩のあたりまでしかない。
 すっきりと短くなった髪に触れ、ユリは微笑んだ。

「いつも走ってるジョギングコースの途中にね、新しいヘアサロンができてたんだ。
 それで、どんなカンジか一度入ってみようと――」

「ワシが聞いておるのはそのようなことではない!」

 ユリの言葉をさえぎり、タクマは声を荒げた。
 道場にはタクマとリョウ、ユリのほかに、帯の白い練習生たちもちらほらといたが、みな一様に目を丸くしてタクマを見つめている。
 どうしてタクマがいきなり怒り出したのか理解できない様子だった。
 リョウは眉をひそめて父に歩み寄った。
 ユリの兄であり、タクマの息子でもあるリョウには、タクマがなぜ急に不機嫌になったのか、何となく判っている。
 このへんでやめさせておかないと、練習生たちの前で恥をかくことになりかねない。

「おい、親父、あのな――」

「おまえは黙っていろ! いいか、ユリ! ワシがいいたいのはだな――」

「どないしたんや、みんな? 何ぞあったんかいな?」

 リョウを憮然とさせたタクマがあらためて何かいいかけたところに、丸めた道着を肩から下げたロバート・ガルシアが現れた。

「――おっ? ユリちゃん、髪切ったんか?」

「あ、うん」

「へえ、ショートもよう似合ぅとるやん。可愛いなあ」

「もう、ロバートさんたら」

 顔を見合わせてにこやかに笑うユリとロバート。

「――せや、ユリちゃん、きょうはワイの組手の相手してくれへんか?」

「いいよー。ちゃんと手を抜かずに相手してくれるんだったらね♪」

「当たり前やろ、今のユリちゃん相手に手加減なんかできるかいな」

「――あー、ロバートくん」

 ロバートの登場に話の腰を折られた感のあるタクマは、苦虫を噛み潰したような表情のまま、ふたりの会話に割って入った。

「組手がしたいのならワシが相手をしてあげよう」

「え? お父さんがでっか?」

「きみにお父さんと呼ばれる覚えはないが、それはともかく、ユリが相手ではもの足りんだろう」

「ちょっと、おとうさん――」

「おい」

 むっとしたように父に文句をぶつけようとしたユリを、リョウがそっと押しとどめた。

「今はやめとけ、ユリ」

「だけどそんなの勝手すぎじゃない! それにさっきだって――」

「まあ、親父の気持ちも判らんじゃないがな」

「え?」

 リョウの言葉に、ユリは怪訝そうに首をかしげた。

「ま、ほかの練習生たちの手前、ここは我慢してくれ」

 大急ぎで道着に着替えてきたロバートは、帯を締めながらタクマの前に立つと、ちらりとリョウたちのほうを一瞥し、苦笑混じりにウインクした。
 たぶんロバートも、タクマが不機嫌な理由にすでに気づいているのだろう。
 リョウは軽く手を合わせて無言でロバートに謝ると、ユリをうながし、ふたりで軽く組手を始めた。

◆◇◆◇◆

「まったく! どうしてサカザキ家の男たちってああなのかしら!?」

 アイスカフェオレをストローでくるくるかき混ぜ、ユリは憤然ともらした。

「――おにいちゃんなんて、『髪切ったのか。ふーん』よ?
 似合うとも似合わないともいってくれないのよ?
 おとうさんにいたっては、あんなわけの判らないリアクションだし!
 少しはロバートさんを見習えばいいのに!」

「まあまあ」

 1日の稽古を終えたあと、ユリとロバートは高台にある見晴らしのいいオープンカフェに来ていた。
 買い物に行くといって家を出てきたユリだが、実際には、こうしてロバートがユリの愚痴につき合わされている。

「空手の鬼といわれたお師匠さんかて人の子、いや、人の親や。ユリちゃんのことが気に懸かるんやろ」

「え? 何それ? どういうこと?」

「まあ、そのへんは家族やあれへんワイがあれこれいうことやない。リョウにでも聞いたらええよ」

 カプチーノのカップを置き、ロバートは意味ありげにその話題を切り上げた。
 道場でのリョウといい、今のロバートといい、何がいいたいのかユリには今ひとつよく判らない。

「――けど、たぶん、お師匠さんの本音をいうたら、これ以上ユリちゃんに空手を続けてほしくないんちゃうかな?」

「え? わたしに空手をやめろってこと?」

「そやのうて、大会に出るとか、そういうレベルの空手の話や。
  もともとユリちゃんが空手を始めたんは、護身術のつもりやったろ? けど、今のユリちゃんの空手は護身術なんてレベルを超えとるし、ごく当たり前のように大会にも出とる。
  ……これって本末転倒とちゃうか?」

 ロバートの指摘にユリは口ごもった。
 確かにユリが空手を始めたのは護身術のつもりだった。
 それがいつの間にか本格的なものになり、今では“キング・オブ・ファイターズ”の常連選手とまでいわれている。
 自分の身を守るために始めたはずの空手が、みずから傷つくこともいとわずに戦うための手段となっているのでは、本末転倒といわれても仕方がないだろう。

「おーい!」

 ユリがじっとうつむいていると、聞き慣れた兄の声が飛んできた。
 見れば、このカフェまでつながる石段の一番下のところで、革ジャン姿のリョウがふたりを見上げて手を振っている。

「――そろそろ帰るぞ、ユリ!」

「おにいちゃん……」

「さっきワイが連絡しといたんや。
 行きがワイの愛車で帰りがリョウのオンボロバイクじゃ、あんまカッコつかへんけどな」

 カプチーノをすすり、ロバートは笑ってユリを見送った。

◆◇◆◇◆

 家までいっしょに乗っていくはずだったリョウのバイクは、途中でガス欠を起こしてしまった。
 重いバイクを押していくはめになったリョウは災難だが、結果的にはよかったのかもしれない。

「――親父はなあ」

「うん」

「考えてみると、髪の長いおまえしか見たことがないんだよ」

「え、そうだっけ?」

 アスファルトの上に、夕陽を受けてふたりの影が長く伸びている。
 それをじっと見下ろしていたユリは、兄のしみじみとした口ぶりに、ふと顔を上げた。

「そうだよ。おまえが前にショートだったのは、確かジュニアハイスクールの頃だったし」

「ああ――うん、あの時はソフトボールばっかりだったしね」

「でも、親父はその頃いなかっただろ」

「そっか……」

 それでようやく、ユリにも兄やロバートのいいたいことが理解できた。
 ユリが幼い頃に姿を消したタクマは、娘が少しずつ成長していくところを見ていない。
  そして、タクマが我が子たちと再会した時、すでにユリは大人の女性となっていた。

「そのへんの負い目もあるから余計にそうなるんだろうな。
 ……たぶん親父は、今になっておまえのことが気に懸かってしょうがないんだよ。
 それこそ、おまえが見慣れない髪型に変えただけで、何かあったんじゃないかってさ」

「だけど、おにいちゃんには特に何もいわないじゃない」

「それは俺が男でおまえが女だからだろ。……おまえもそろそろ将来のことを考えていい年だしな」

 それを聞いてユリは思わず噴き出した。
 まさかこの空手ひとすじの兄から、将来のことを考えろといわれるとは思わなかったのである。
 リョウは眉をひん曲げ、かたわらを歩くユリを見下ろした。

「何なんだ、今の反応は? 俺だって将来のことぐらい考えてるぞ?」

「たとえばぁ?」

「そりゃ決まってるさ、極限流を極めることだよ」

「いうと思った」

 想像通りといえば想像通りの答えに、ユリは苦笑せずにはいられなかった。
 本気でこういう答えしか返せないくらいに、リョウは不器用な男なのである。
 ユリは頭の後ろで手を組み、夕焼け空を見上げて溜息混じりにいった。

「あ〜あ、おにいちゃんの不器用さはおとうさんゆずりだね、ホントに。
 ……キングさんがちょっと可哀相になってきちゃった」

「ん? 何かいったか、ユリ?」

「何でもな〜い♪」

 眉をひそめるリョウを残し、ユリは駆け出した。

「あ! おい、ユリ!」

「わたし、ちょっと走り込んでから戻るから!」

「それはいいが、あんまり遅くなるなよ!」

「それとね!」

 肩越しにリョウを振り返り、ユリはつけ足した。

「わたし、今度の大会はキングさんや舞ちゃんといっしょに出るから!」

「何!? ――おい、ちょっと待て! 初耳だぞ!」

「そういうわけだからぁ、おにいちゃんたちは男くっさ〜い3人組でエントリーしてね! わたしがどれだけ成長してるか、おとうさんにもおにいちゃんにも、あらためて判らせてあげるよ!」

「おいこら、ユリ――!」

 走るユリの後ろから、兄の声が追いかけてくる。
  それを振りきるように、ユリはスピードを上げた。

「やれやれ……」

 あっという間に小さくなっていくユリを見送り、リョウは嘆息した。
 はっきりと口にこそ出さないが、父が年頃になったユリのことをあれこれと気に懸けているのはリョウにも判る。
  最近は特にそうだった。
 そんなタクマが、またユリが別のチームで参戦するなどと聞いたら、おそらくこめかみに青筋を立てて激昂するだろう。
 とりあえずリョウにできるのは、ユリが帰宅してタクマにKOF参戦の話題を切り出した時に、父をなだめてユリの味方をしてやることくらいだった。

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システム

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コラム

 グラフィックを一新した前作「KOF12」(以下「12」)のシステムをほぼ全廃し、ハイパードライブモードやEX必殺技などの新システムと、旧作からの復活キャラを追加した新作。……というよりも、未完成のまま強行発売された「12」の完成バージョン、という位置づけのほうが正しいかもしれません。
「12」ではストーリーもチームもありませんでしたが、本作では「KOF11」の続編として、アッシュ編のストーリーが完結。キャラクターが20人から31人に増え、三人一組のチーム制も復活しました。

 前作では出場できなかったユリも、今回は前作で同じ境遇だったキングや舞と「元祖女性格闘家チーム」としてめでたく復活。
「ユリ雷神脚」「鳳翼」「覇王雷煌拳」などの新技を引っさげての出場となります。
 全体的にリーチが短く火力が低いため、圧倒的にダメージ勝ちすることは難しいものの、軽いフットワークとEX砕破、雷煌拳、空中投げ、そして鳳翼など、豊富な手数で色々なことができる、面白いキャラクターです。
(とはいえ、やはりリーチの長い相手は相当辛いです。個人的にはK'には勝てる気がしません)
 特に新技の「鳳翼」が特徴的。この技とユリちょうアッパーで相手をお手玉しながら画面はしに追いつめ、そこからのEX砕破と飛燕鳳凰脚を絡めた連続技は、ユリの貴重なダメージ減です。

 前作でも賛否両論だった濃い目のグラフィックは、キャラクターが全体的に小さくなり、背景の色調が抑えられたせいか、前作ほどの吐き気はありません(慣れもあるでしょうが)。
 その中でもユリは、かなり幼くなった印象はありますが、無事、可愛い部類に入ります。
 当初、これまで一貫してロングだった髪をショートにしたことがファンの間では騒がれましたが、発売後はそれ以上に、「パンツ+ニーソックス」というアナザーカラーのエロさや、いわゆる「脱衣KO」の復活が「素晴らし……けしからん!」と話題になりました。
 また、本作にはシリーズで初めて全キャラに試合前の掛け合いが用意されているのですが、そのときに表示される顔グラフィック数は、ユリは舞の8パターンに次ぐ、2位タイの6パターンが用意されています。
(ちなみに、もう一人の6パターン所持者は、意外にもケンスウ。女性格闘家チームは3人合わせて18パターンと、全チーム最多)。

 この「KOF13」は「KOF12」に続いて特殊な手法でキャラクターが構築されています。
 まず各キャラクターに簡単に色を乗せただけの専用3Dグラフィックスモデルを用意し、ポーズをとらせたり光を乗せ、それを2Dフレームとして出力、さらにその上からイラストテイストの表情やドット絵を乗せていくという、かなり手間のかかる手順を踏んでいます。
 自然な動きとともに格闘技らしい派手な動きを再現するため、わざと荒々しい(ゲームキャラクターらしい)アニメーション修正も行われています。
 3Dモデルに多くの骨格が仕込まれたことによって、2Dモデルでも例えば「舞のバストが本体とは別のスプライトで動く」という複雑な処理を可能にしたようです。
 結果的にプレイステーション3では日本で初週21,525本、最終的に世界で17万9000本(PS3)、Xbox360で15万9000本売上と、かなりの人気を博しました。Complex Networksは2012年、本作を「SNKの格闘ゲームで3番目に優れたゲーム」に、2013年に同じく史上8番目に優れた2D格闘ゲームにランク付けしました。

「KOF13」の解発が終了した後、実は「'98UM」「2002UM」に続く新しい「UM」シリーズの開発の話が進行していました。ストーリー上で放り出されていた「飛賊」と完結した「遥けし彼の地」シリーズのキャラクターで新しい「UM」を新しいシステムで(グラフィックを2002以前のレベルに戻して)企画の話が進んでいたのですが、これ以降SNKプレイモアはパチスロ業界に進むようになり、続編の開発は立ち消えとなりました。

●裏技。
 K'、ユリ、タクマ、ラルフ、アンディ、ジョー、ライデンの七人は、キャラ選択時にスタートボタンを押しながら選ぶと、キャラクターの衣装が変わります。
 ユリの場合は、髪型がショートカットから、従来の三つ編みになります。

●アーケード版→家庭用のユリ・サカザキの変更点。

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必殺技コマンド

投げ技コマンド
鬼はりて(相手の近くで) or + C or D
燕落とし(空中で) 以外 + C
特殊技コマンド
燕翼 + A
ユリ雷神脚(空中で) + B
必殺技コマンド
虎煌拳 + A or C
砕破 + A or C
空牙(ユリちょうアッパー) + A or C
雷煌拳 + B or D
空中雷煌拳(空中で) + B or D
百烈びんた + A or C
鳳翼 + B or D
超必殺技コマンド
覇王翔吼拳 + A or C
飛燕鳳凰脚 + B or D
NEO MAX超必殺技コマンド
覇王雷煌拳 + AC

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対戦前掛け合い

ユリ・サカザキ(同キャラ)
ユリ(1P)「はは〜ん……さてはあなた、私から見た目だけじゃなくて、技まで盗む気でしょ?」
ユリ(2P)「本物が偽者から盗むものなんて、な〜んにもないと思うけどな〜?」
ユリ(1P)「……口先だけは立派だけど、実力のほうはどうなのかしらね〜?」
ユリ(2P)「何だったら試してみる? どうせ私が勝つに決まってるけど!」
不知火舞
「ハ〜イ! たまには私がユリちゃんの実力をチェックしてあげるわ!」
ユリ「ちょっとちょっと〜、それって私のセリフじゃないのかな〜?」
ユリ「お休みしてた間に舞ちゃんの力が落ちてないかどうか、私が確かめてあげる♪」
キング
ユリ「あ、そうだ! 以前からずっと、キングさんに聞きたいことがあったんだけど」
キング「いったい何だい? 私に答えられることならいいけど……」
ユリ「……ぶっちゃけ、キングさんて、ウチのおにいちゃんのこと、どう思ってるの?」
キング「は!? い、いきなり何を言い出すんだい! そ、そんなこと、い、今はどうでもいだろ!」
ユリ「あれ〜? どうしちゃったのかな〜? キングさん、すっごく動揺してない〜?」
キング「しっ、してるわけないだろ! そ、それよりほら、かっ、かかってきな!」
ユリ「キングさんもまだまだ甘いよ♪ この勝負、私がもらったもんね〜!」
リョウ・サカザキ
リョウ「ユリ……俺はまだ、おまえが空手を続けることを許したわけじゃないんだぞ?」
チン「も〜、いまさらそんな話しないでよ。おにいちゃんてば、ホントに心配性なんだから」
チン「いい機会だし、だったらその目で確かめてよ! 私がもう一人前の格闘家だってことをね!」
リョウ「よし、全力でかかってこい! 俺も手加減はしないからな!」
ロバート・ガルシア
ロバート「よう、ユリちゃん! ここであったが百年目や。今日か明日にでもデートせえへん?」
ユリ「ごめんね、ロバートさん。今夜はみんなと戦勝祝賀パーティーの予定が入ってるのよ〜」
ユリ「で、あしたはたぶん病院へ行くんじゃないかな。もちろんロバートさんのお見舞いにね♪」
ロバート「それはつまり、ワイに勝つってことかいな。ずいぶん自信たっぷりやなあ」
ロバート「けど、そないに簡単に勝たせてはやれへんで! ワイも「最強の虎」の看板背負ってるよってな」
タクマ・サカザキ
タクマ「よいか、ユリ! ワシはな、護身の範疇を超えて空手をやるなとは言わん」
タクマ「だが、やるからには真摯に向き合え! おまえの空手にはその姿勢がたらぬのだ!」
ユリ「おとうさんもおにいちゃんも頭がカタいなあ。物事はケースバイケースで考えなきゃ」
ユリ「おとうさんたちは真面目一徹でいいけど、私にはこのやりかたが一番合ってるの」
ユリ「別にいいでしょ? 空手家が100人いたら、修行のやりかただって100通りあるのよ」
タクマ「知ったふうな口を叩きおって……! その根性、ワシが鍛えなおしてくれるわ!」
アッシュ・クリムゾン
ユリ「事情はよく知らないけど、あちこちでたちの悪いことやってるみたいね?」
アッシュ「よく知らないなら口出ししないでヨ。ボクにはやらなきゃいけないことがあるんだ」
ユリ「ストーップ! きみの野望もここまでだよ! ユリちゃんが絶対止めてみせるんだから!」
アッシュ「あ〜あ……また面倒なことになっちゃったヨ。KOFってどうしてこういう人が多いワケ?」
エリザベート・ブラントルシュ
エリザベート「天真爛漫なあなたに、この先の戦いは辛すぎます。……もうお帰りなさい」
ユリ「天真爛漫て、それ褒め言葉なの? なーんか馬鹿にされてる気がするけどなあ」
エリザベート「そんなつもりはありませんが……納得できないのであれば相手になりましょう」
エリザベート「いずれにしても、先に進むのはこの私……あなたにはここで退場してもらいます」
ユリ「そううまくいくとはかぎらないわよ! 私にだって背負ってるものはあるんだから!」
デュオロン
デュオロン「妹……おまえも、か……」
ユリ「え? なになに? なんの話? たしかに私にはおにいちゃんがいるけど……」
デュオロン「……なんでもない。いまさらいっても詮なきことだ……」
シェン・ウー
シェン「てめェ、正気か? まさか本気で俺の相手をしようとか思ってんじゃねェだろうな?」
ユリ「あれっ? まさかユリが女の子だから、そういうこといっちゃうわけ〜?」
ユリ「一応アドバイスしてあげるけどー、油断してると足元すくわれちゃうよ〜?」
シェン「面白い小娘だな。……いいぜ! ご期待通り、ガチで相手をしてやるよ!」
草薙京
「どっかの軍人さんのセリフじゃねえが、格闘ゴッコのつもりなら帰んな!」
「こいつはただの格闘大会じゃねぇ……。どうせまた裏あるに決まってんだからな!」
ユリ「そんなのいつものことじゃない? 覚悟だったらぜんぜんできてるよ、私?」
「あの兄にしてこの妹あり……いや、あの父にしてこの娘あり、か?」
「それじゃ遠慮なくいかせてもらうぜ! 俺も先を急いでるんでな!」
二階堂紅丸
ユリ「そうだなあ……今度は紅丸さんの技でも参考にさせてもらおっかなあ〜?」
紅丸「別に俺はかまわないぜ? なんだったら手取り足取り俺がコーチしてあげても……」
ユリ「ホントにいいの? じゃあ今度の日曜にウチの道場でね! おとうさんも呼ぶから!」
紅丸「えっ? いや、そうじゃなくてさ。どうせなら俺のマンションで……」
ユリ「ふふっ、冗談に決まってるでしょ♪ だって、ロバートさんからいわれてるもん!」
ユリ「危険だから、紅丸さんとは絶対にふたりっきりになったらアカン! ってね」
紅丸「あのイタリア野郎……! 余計なことをいいやがって……!」
大門五郎
大門「……おぬしがいかに立ち回ろうと、一撃の軽さはいかんともできぬぞ……?」
ユリ「それをスピードとテクニックでひっくり返すから面白いんじゃない?」
ユリ「せっかくの試合なんだもん、めいっぱい楽しまなくっちゃ損だよ、損!」
大門「なるほど……、……おぬしのいうことにも一理ある」
ユリ「ってなわけで、最初から飛ばしてくよ! 元金メダリストさん!」
八神庵
ユリ「いつまで世をすねてるわけ〜? ニヒルなのも度がすぎると、みっともないよ?」
「くだらんことを……、……どうやら死にたいらしいな」
ユリ「もう、ホントに判らず屋なんだから! 人がせっかく親切でいってあげてるのに!」
マチュア
ユリ「あれ? 眼帯なんかしちゃってどうしたの? 何かの病気? それとも怪我?」
マチュア「そういうわけじゃないわ。……気になるの? だったらはずしたほうがいい?」
ユリ「うーん……眼帯の下がどうなってるのか、見てみたいような見たくないような……」
ユリ「いやいや、やっぱりいい! ご遠慮します! 何かとってもイヤ〜な予感するし!」
マチュア「臆病なのね、あなた……どうせこれから、もっと残酷な現実を目にするのに……」
バイス
ユリ「じゃじゃーん! ユリ・サカザキ参上! 巷で話題の極限小町とは私のことよ!」
バイス「ガキのケンカじゃあるまいし……はしゃぐんじゃないよ、小娘!」
ユリ「わー、コワい! でも残念でした! そのくらいで逃げ出す私じゃないんだから!」
バイス「オマエの声は癇に障るんだよ! 次の満月といわず、今すぐ永遠に黙りな!」
テリー・ボガード
テリー「俺は……アンタの兄貴と同じか、それ以上の修羅場をくぐってきてる」
テリー「そいつがどういう意味か判るかい? ミス・サカザキ?」
ユリ「望むところよ! だって私の目標のひとつは、そのおにいちゃんを超えることなんだから!」
テリー「OK……! だったら手加減はかえって失礼だな! 全力でいくぜ!」
アンディ・ボガード
ユリ「アンディさんにちょっと聞きたいんだけど〜、ズバリ、舞ちゃんとの仲はどうなってるの〜?」
アンディ「まったく、どこに行ってもこの話題だな……。あちこちで愚痴りすぎなんじゃないか、舞の奴」
ユリ「えっ? なんていったの、アンディさん? 舞ちゃんがどうかしたの?」
アンディ「なんでもないよ。……それよりきみのほうこそ、ロバートさんのことをどう思ってるんだい?」
ユリ「えー? ロバートさん? そうねえ〜、……まあ……うん……あはははは♪」
ユリ「それはとりあえずこっちに置いといて! まずは勝負勝負! 行っくわよ〜!」
アンディ「それもそうだね。俺たちは別に、おしゃべりにきたんじゃないんだから」
ジョー東
ジョー「おい、ユリちゃん! どうせ真似るんだったら、兄貴やテリーなんかじゃなく俺にしときな!」
ユリ「えー? ジョーさんの真似はちょっと……その、恥ずかしいっていうかぁ〜……」
ジョー「何だと!? おい、ちょっと待て! ムエタイのどこが恥ずかしいんだよ!?」
ユリ「えーと……ムエタイがじゃなくて、その……、ジョーさんの……ぜ、全部?」
ジョー「……て、てめえ、もう勘弁ならねえ! タイに連れ帰ってシゴキ倒してやらあ!」
キム
キム「兄と妹がお互いの技を競い合い、ともに成長していく……美しい姿です」
ユリ「え? でも確かキムさんのところも、男の子がふたりいるんじゃなかった?」
キム「確かにそうですが、弟のほうはともかく、兄のほうがやんちゃというか何というか……」
キム「このままではあの子の将来が……今のうちに……いや、しかし……うむう」
ユリ「あのー! もしもーし、キムさーん! そろそろ試合の時間なんですけどー!」
ホア・ジャイ
ホア「るァア!? また女子供が相手かよ!? KOFはいったどうなっちまったンだ!?」
ユリ「あのねえおじさん、もう21世紀なんだよ? 男女同権はグローバルスタンダードなの!」
ユリ「むしろこれからは女の時代なのよね。女だからって甘く見てると、ケガするかもよ?」
ホア「グ、グローバー……? うう、う、うるせェ! ワケのわかんねえこといってんじゃねえ!」
ホア「と、とにかく女子供の出る幕じゃねぇンだ! いって判らねェなら殴って判らせてやるァ!」
ライデン
ユリ「ねえねえ、ちょっと聞きたいんだけどー。ライデンさん、コアラが嫌いってホントなの?」
ライデン「ああ、本当だぜ。……だっておめぇ、あいつら何考えてるか判らねェだろ?」
ユリ「えーと……なに考えてるか判らないのは、コアラだってクマだって同じじゃないかなぁ?」
ライデン「クマはいいんだよ、クマは! でもコアラはダメだ! コアラだけはな!」
ユリ「なにもそんなに思いっきり力説しなくたって……でもこの人、根はいい人っぽいなー」
麻宮アテナ
ユリ「む〜……! はぁっ! とうっ! やーっ! ……うーん、やっぱり違うんだよねー……」
アテナ「あ、あのー……ユリさん? さっきからいったい何をしてるんですか……?」
ユリ「決まってるじゃない、超能力の特訓よ! 次はアテナちゃんの技を参考にしようと思って」
アテナ「……それで本当に超能力が身についたら、この前までのケンスウの苦労って……」
ユリ「あー、もうぜんぜんサイコボールが出ない! こうなったら本人に教わるしかないわね!」
ユリ「っていうことで、勝負よ、アテナちゃん! この試合であなたの技、会得するから!」
アテナ「……そのくらいで身につくほど、簡単なものじゃないんですけどね……」
シイ・ケンスウ
ユリ「ゴメンね、ケンスウくん! アテナちゃんの前で恥かかせちゃって」
ケンスウ「始まる前から何ゆうてんねん? ワイはアテナにエエとこ見せたるんや!」
ケンスウ「あいにくやけど、今日のワイは、いつものワイと違うで! 覚悟しいや!」
鎮元斎
ユリ「おじいちゃん、ホントに大丈夫? あんまり無理しないほうが……」
チン「ほっほっほ……これでもワシは、おまえさんの親父さんよりも場数を踏んどるよ」
チン「どれ……このジジイを恐れぬのなら、どこからでもかかってくるがよいじゃろ」
ユリ「そういうことなら遠慮しないからね! 行くよ、おじいちゃん!」
ラルフ・ジョーンズ
ラルフ「まったく、ウチのお姫さんにも、アンタくらいの愛嬌があればいいんだがな」
ユリ「えへへ……♪ 今の傭兵さんのセリフ、年頃の娘を持つ父親みたいだったよ?」
ラルフ「勘弁してくれよ……俺はまだ独身だぜ? あんなデカいガキがいるなんてごめんだぜ!」
クラーク・スティル
クラーク「最初から勝敗は見えてるにしても、それなりの手応えは感じさせてもらいたいね」
クラーク「筋トレのほうがマシだった、なんて試合は、おたくだって願い下げだろ?」
ユリ「さあ、どうかな〜? それはユリじゃなくて、おじさんの頑張り次第じゃないの?」
ユリ「油断してると、それこそ筋トレのほうがよかったって結果になっちゃうんだから!」
レオナ・ハイデルン
レオナ「あなたは……死線を越えたことがあるの……?」
ユリ「え? そうやってあらためて聞かれると……うーん、まだない、かなぁ……?」
ユリ「けど、その覚悟だけはいつも持ってるよ! でなきゃ格闘技になんて手は出さなかったしね」
レオナ「そう……それはそれで、あなたらしいのかしら……?」
K'
ユリ「ねえ、そうやっていつもしかめっ面してて、ないかいいことあるわけ〜?」
K'「……バカか、テメェ? そんなモンあると思ってんのかよ……」
ユリ「え〜? それじゃどうしていっつもそんな不機嫌そうな顔してるの?」
K'「くだらねぇこといってんじゃねえ……・。……これが地だ」
クーラ・ダイアモンド
ユリ「ねえねえ、たまにはあなたもわたしたちのチームに入らない?」
クーラ「それじゃあアイスたくさんくれる? だったら仲間になってあげてもいいよ♪」
ユリ「えっ!? アイスで仲間になるってことは、アイスで裏切る可能性もあるってこと?」
マキシマ
マキシマ「お嬢ちゃんじゃ絶対的にパワー不足だ。絶望する前に棄権することをオススメするがね」
ユリ「またまたそんなこといっちゃって〜。本当はユリの潜在能力が怖いんじゃないの〜?」
ユリ「体重さだってパワーの差だって、スピードとタイミングでひっくり返せるしね!」
マキシマ「……おまえさんの一番の武器は、その前向きな性格だと思うぜ?」
サイキ
ユリ「とってもヤバそうなその面相からすると……、さてはあなた、マガキとかいう人の仲間ね?」
サイキ「別に説明は必要ないよな? どうせお目らには理解できないだろうしよ」
ユリ「あ、今のちょっとムカついた……。ユリのことバカにしたでしょ、今!?」
サイキ「おまえだけじゃない、人間はみんなそうだろ? バカで愚かでゴミクズしかいねえし!」
血の螺旋に狂うアッシュ(黒アッシュ)
ユリ「あれ? アッシュくん……じゃないの? え? 誰なの、あなた?」
黒アッシュ「は〜あ、顔が知れてるのも考え物だな。行く先々で声かけられるなんてウザイんだよ」
黒アッシュ「……要するに、さっさと仕事をすませて「あるべき場所」に戻れってことだよな」

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勝利メッセージ

ユリ・サカザキ(同キャラ)「うーん……そうねえ、見た目は頑張ってるけど……私をマネるには、ちょっとセンスが足りなかったかな?」
不知火舞「ふだんの組み手じゃなくて晴れの舞台なんだから、もっとホンキ出してかかってきてよね、舞ちゃん!」
キング「さ〜て……次のターゲットはいよいよキングさんかな? 華麗な足技の数々、参考にさせてもらっちゃお〜っと♪」
リョウ・サカザキ「どぉ、おにいちゃん、私の極限流は? そろそろユリの実力、認めてくれてもいいんじゃない?」
ロバート・ガルシア「……ロバートさん、もしかして手加減したでしょ? ちょっとあっけなさすぎだよ、もう!」
タクマ・サカザキ「どう、おとうさん? これが今の私の実力よ! 判ったらもう細かいことでうるさくいうの、やめてよね!」
アッシュ・クリムゾン「あんまり身の回りの人たちに心配かけちゃダメだよ! あの暗〜い人とか、チンピラみたいな人とかに!」
エリザベート・ブラントルシュ「あー……何だかまだ目がチカチカする……。戦ってる間より、試合後のほうがキツいわ、この人……」
デュオロン「私の基準て、よくも悪くもおとうさんやおにいちゃんなんだよね。だからかな? ちょっとやそっとの強さじゃ驚かないんだよね!」
シェン・ウー「な〜んだ、これだったらウチのおにいちゃんのほうがずっと強いよ。上海一のケンカ屋だっていうから期待してたのに」
草薙京「覇王翔吼拳を会得しない限り、私に勝つことなんてできないよ! もう少し修行してから出直してきてね〜♪」
二階堂紅丸「そうだ、今度は紅丸さんのポーズを参考にさせてもらおっと♪ 何のポーズかって? もちろん、色っぽい崩れ落ち方よ!」
大門吾郎「別に運がよかったわけでもフロックでもないよ! つ・ま・り! これがユリちゃんの実力なの♪」
八神庵「いつにも増してギスギスしてるなあ……もしかして、炎が出ないせい? だとしても、周りの人に八つ当たりするのはよくないと思うよ」
マチュア「ねえねえ、パンツルックに着替えてきたのって、何か意味があるわけ? ひょっとして、脚の太さが気になり始めたとかぁ?」
バイス「ヘシ折るとかブッ壊すとか、どうしてそんな乱暴なこというかなあ? もっとほんわかムードでいってもいいんじゃない?」
テリー・ボガード「テリーさんとおにいちゃん、どっちが強いかなー? ……ま、どっちにしても私の方が強いんだけどね♪」
アンディ・ボガード「舞ちゃんが自慢するだけあって、アンディさんてカッコいいよね〜。でも、ユリ的にはもうちょっと背が高いほうが……」
ジョー・東「えへへへ〜♪ ユリちゃん伝説が始まっちゃうカンジ? 嵐を呼ぶ美少女格闘家、ユリ・サカザキ参上! な〜んちゃって」
キム「弟子を指導する難しさは私も知ってるつもりだけど、キムさんの場合、指導っていうより……えーと、調教?」
ホア・ジャイ「あなたもムエタイをやってるんだったら、キングさんに教わったら? ……あれ? もしかして怒ってる? 私、何か失礼なこといったかな?」
ライデン「そんなマスクかぶってるから負けちゃうんじゃない。ねえ、それ、ちゃんと前が見えてる?」
麻宮アテナ「あ! いまさらだけど、今度サインちょうだいね! 私の親友に、アテナちゃんの大ファンの子がいるんだ♪」
椎拳崇「え? ちゃんと修行しているようには見えないのにどうして強いかって? 失礼ね、私だって努力してるよ! ただ人には見せないだけで!」
鎮元斎「うーん、やっぱりお年よりは大切にしなきゃね。……まあ、KOしたあとでいっても説得力に欠けるけど……」
ラルフ・ジョーンズ「……こんな人たちといつもいっしょのレオナちゃんとくらべたら、あの3人に囲まれてる私はまだマシ……なのかなぁ?」
クラーク・スティル「いっつも戦場がどうの格闘ゴッコがどうのいうけどさ。勝ったのは私でしょ? これ以上いうと負け惜しみになるよ?」
レオナ・ハイデルン「……そう無表情だとやりにくいのよね〜……。効いてるのか効いてないのか今イチ判らないんだもん」
K'「あなた、ちょっと片意地張りすぎじゃないの〜? ほら、もう少し力を抜いて、リラックスリラックス♪」
クーラ・ダイアモンド「あー! 私、あなたの気持ちよく判っちゃうかも! 機会があったら、私たち女の子だけのチームで参戦しようね!」
マキシマ「もしかして、体格差でどうにかなると思ってた? でもおあいにくさま! そういうハンデは慣れてるもんね♪」
サイキ「……やっぱりあなた、あのマガキって人の親戚か何かでしょ? だって、肌が真ピンクの人ってそうそういないし!」
黒アッシュ「実はアッシュ君、二重人格だった……とか? でも、きっと今のショックで元に戻ったよね! 一件落着〜♪ 」

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敗戦メッセージ

不知火舞「ほらほらー、どうしたの、ユリちゃん? そんなことじゃ、いつまでたっても私には追いつけないわよ?」
キング「……まあ、あんたのその勢いは買うけどね。リョウに頭を下げて、もう少し基礎をしっかり学ぶべきだよ」
リョウ・サカザキ「残念だったな。俺を倒すにはまだまだ力不足だったということさ。悔しかったらひたすら鍛錬を積め! 強くなるのに近道はない!」
ロバート・ガルシア「大丈夫か、ユリちゃん? もうアホな真似はやめときや。ユリちゃんの才能と努力はワイらも認めとるさかいに……な?」
タクマ・サカザキ「馬鹿者! 今までいったいなにを学んできた!? おまえには極限流の本質がまだ判っておらんようだな!」
アッシュ・クリムゾン「パワーもスピードも、おまけにセンスも今イチだけど……。まあ、いいんじゃない? ピエロとしては及第点だったヨ!」
エリザベート・ブラントルシュ「黒白自明、これで己の分というものが判ったでしょう。この世界で生きていくのなら、もっと己を磨くことです」
デュオロン「……おまえに兄がいるのなら、絆を大切にすることだ。一度失われてからでは遅すぎる……」
シェン・ウー「一人前の格闘家を気取るにゃ100年ばかり早すぎたようだな! 本気で強くなりたきゃ人真似じゃねぇ何かを手に入れるこった!」
草薙京「やれやれ……せめてその口数ほどに手数が多けりゃ、もう少しマトモな戦いになったろうによ!」
二階堂紅丸「悔し泣きかい? だったら思い切り泣けばいいさ……。俺の胸でよければ喜んで貸すよ、ミス・サカザキ?」
大門吾郎「この世界に身を沈める覚悟がないなら、今のうちに引き返すことだ……」
八神庵「とどめは刺さん……。もがけ、苦しめ、そして狂い散れ!」
マチュア「絶望に満ちた未来があなたを待ってるわ。さあ……静かに目を閉じなさい」
バイス「どうだい、これでおつむの弱いあんたにもよく判っただろう? ……小娘と大人の女の差ってやつがさあ!」
テリー・ボガード「方向性はともかく、修行はサボっちゃいないらしいな! 次はどんなサプライズが飛び出すか、楽しみだぜ!」
アンディ・ボガード「君の致命的な弱点は、その一撃の軽さだ! それを克服するにはスピードとタイミングをもっと突き詰めることだよ!」
ジョー・東「ユリちゃんよ、空手はアマチュアボクシングとは違うんだぜ? 軽いのペチペチ当ててねえで、ガツンと重いの当てにこいよ!」
キム「……以前からずっと気になっていたのですが……。なぜあなたの技は、飛燕でなおかつ鳳凰なのです?」
ホア・ジャイ「イヒャヒャヒャヒャ! なんて顔をしてやがんだ、テメェ? まさか俺様の強さに惚れちまったかい?」
ライデン「ほらよ、このライデン様がギプスにサインしといてやったぜ! 病室でほかの患者に自慢しな! ガーハッハッハ!」
麻宮アテナ「龍に虎に鬼……極限流のみなさんってバラエティに富んでますね。……ところで、それじゃユリさんは何なんでしょうか?」
椎拳崇「何ちゅうか……やっぱ早すぎやっとのちゃうの? あんたが「極限」だのなんだの名乗って戦うんは?」
鎮元斎「す〜きっぷす〜きっぷ、らんらんら〜ん♪ ワシの勝ちじゃ、超よゆうッち! じゃわい♪」
ラルフ・ジョーンズ「さーて、素人さんの出番はここまでだ! あとはおうちに帰って、俺の活躍をテレビで観戦してな!」
クラーク・スティル「戦いを楽しむのは悪くない。……が、楽しむだけじゃそこまでだ。戦いの恐ろしさや残酷さって物を知らなきゃ、先には進めないぜ」
レオナ・ハイデルン「あなたが負けた理由……? 戦いの怖さを知らないからじゃない……?」
K'「時間のムダなんだよ……。どっちが勝つか、やるまでもなかったろうが」
クーラ・ダイアモンド「あははっ♪ 戦うのってすごく楽しい! ねえ、あなたもきっとそうだよね? ホント、ワクワクするの!」
マキシマ「デカくて頑丈でパワーがあって、おまけに頭もいい。……どうだい? 俺が勝って当然じゃないか?」
サイキ「あっさり試合終了のゴングを鳴らしちまっちゃ面白くないよな。安心しろって、メインディッシュはこれからだからよ!」
黒アッシュ「……ホントに運がないのな、おまえ。格闘技なんかに手を出さなきゃ死ぬこともなかったろうに」

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ストーリーデモ(ステージ3終了後)

ローズ「仰るとおり、このたびの『KOF』は、我がバーンシュタイン家の単独開催」
ローズ「それに相応しいスタジアムを新たに建設いたしました」
ローズ「決勝戦はこれまでにない、豪華な装いで行いたいですわね」
ローズ「予算? お気になさらず」
牡丹「無界様が封を解き、禍忌様が見つけたオロチの「気」」
牡丹「その直上に造られたスタジアム。「扉」を開く宴の準備も、すぐに整う」
牡丹「……どうやら間に合ったようね」
無界「アトはサンシュのジンギヲソロエ、KOFをシンコウさせれば……」
サイキ「無界…… だっけ? お前らって本当に無能なのな」
無界「ボタンたちはヨくやっております。フシマツのスベテは、このムカイめの」
サイキ「禍忌は死ぬ。紫苑は行方不明。時間はギリギリで、チャンスは一度きり」
サイキ「……なぁ。」
サイキ「お前ら、死ね」
サイキ「……」
サイキ「安い命でも足しにはなるよ。だよな? 死ねよ」
無界「……ゲキレイのおコトバ、アリガタく。ミナもフルいタちましょう」
サイキ「……フン」

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ストーリーデモ(ステージ6終了後)

ローズ「優勝おめで」
プレイヤー「な!? 一体何が…………時間が止まっている?」
無界「ヒサシぶりだなニンゲンドモ」
プレイヤー「無界、やはりお前たちが! 一体何を企んでいるんだ!」
サイキ「は〜あ……お前らさぁ」
サイキ「時間が無いって何回言わせるんだよ」
サイキ「とっとと配置につけよ、この能無し共」
敵たち「ハッ!」
プレイヤー「アッシュ・クリムゾン? いや、違う……誰だ!?」
サイキ「……で、おまえはそこで何してんの?」
無界「サイキサマ、ココはワタクシめにおマカセを」
サイキ「フフ……」
無界「グッ!? ガハッ」
サイキ「同じことを何回も……言わせんなよ」
プレイヤー「貴様……、なんてことを!」
サイキ「さあて、と……」
サイキ「待たせたな。今から貴様らには死んでもらうわけだが」
サイキ「オロチとやらを喜ばせるためだ。なるべく長く苦しんでから逝ってもらう」
プレイヤー「ふざけるな……死ぬのはお前のほうだ!」
サイキ「そう、そういう感じだ」
サイキ「なかなかセンスいいじゃないか貴様ら、生贄の才能があるよ。フフ……」
サイキ「憎悪や憤怒、最高級の闘気……地球意志には、どれも最高の貢物だ」
サイキ「貴様らの血、肉、魂の一片にいたるまで全てをオロチとやらに呉れてやる!」

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ストーリーデモ(ステージ7終了後)

サイキ「いいぞ、その抗い様……だがもっとだ」
サイキ「もっと抗え! もっと叫べ!!」
牡丹「サイキ様、扉が!」
サイキ「!?」
サイキ「なぜ扉が閉じる!? ええぃ貴様! どういうことだ!」
牡丹「わ、わかりません。急に……い、いいえ!」
牡丹「時球が幾つか消えています!」
サイキ「くっ……」
サイキ「フ、フフフ……、とことん使えねぇ連中だよ」
サイキ「それとも……」
サイキ「これは、お前たちの仕業なのか?」
サイキ「だったら上出来だ。褒めてや……」
サイキ「!!」
 (突然、サイキの胸を貫く一本の腕)
サイキ「ガフッ!」
サイキ「キ……キサ、マ……」
アッシュ「やぁっとスキを見せてくれたネ。正直あぶなかったよ。アハハハ♪」
 (サイキの「力」を奪い、ほくそ笑むアッシュ)
牡丹「騙したな、アッシュ・クリムゾン! 神器を揃えるつもりも、最初から……」
アッシュ「アンタたちは、これからゆっくりと滅びてゆくんだ」
アッシュ「何百年も掛けて『歴史どおり』にネ。なべて世は事もなし。アハハ……」
アッシュ「はうっ!」
 (突然、アッシュの身体を黒い「まだら」が塗りつぶしていく)
サイキ「フフ……いいぞ、これはいい……この体を使えば間に合う……」
牡丹「サイキ様、いったい……きゃあぁああっ!」
サイキ「まだ、間に合う……フ……フフ……」

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ストーリーデモ(最終ステージ終了後)

 (白い空間にたたずむ、黒い炎に包まれたアッシュの身体。その身体の前で、アッシュとサイキが対峙している)
エリザベート「アッシュ……?? 聞こえる? 私よ、エリザベートよ!」
アッシュ「……」
サイキ「無駄だ、アッシュ。俺には貴様の全てが解っている……」
サイキ「なぜなら俺はお前の祖である。主であり、そして……神だからだ」
サイキ「さぁ、今すぐその扉を抜け、俺「たち」の時代へ帰還するんだ」
サイキ「俺達は何度でもやり直せる」
サイキ「元の時代では準備に何十年かかろうが、二つの時代を繋ぐ扉がある限り……」
サイキ「俺達はどんなことでもできる。思うがままの未来を創り出せるのだ!」
サイキ「……さぁ、扉の先へ進め。」
エリザベート「扉が閉じてしまう……アッシュ! どうしたの?」
サイキ「……どうした、何をしている」
サイキ「悪ふざけはよせ、アッシュ・クリムゾン」
サイキ「……扉をくぐれ! 貴様! 何をもたもたして……」
サイキ「と、扉が!」
サイキ「扉がぁああああっ!」
サイキ「貴様……。自分が何をしたのかわかっているのか?」
アッシュ「アンタ、さっき……」
サイキ「今からここで起きることは、死などという生易しいものではない……」
アッシュ「ボクのコトは「全部わかってる」……確かそう言ったよネ」
サイキ「タイムパラドックス……」
アッシュ「バッカじゃないの? わかってないヨ。ボクは、この世界のことが……」
サイキ「過去と未来の矛盾が生じれば、俺はどうなる? 俺の存在は……」
アッシュ「けっこう、気に入ってるんだ」
サイキ「いやだ……」
サイキ「いやだ……」
サイキ「いやだ! 死にたくない」
サイキ「う、うう……ぎぁあぁああああああ!!」
 (身体から「サイキの黒」を祓うアッシュ)
アッシュ「……オ・ルヴォアール」
エリザベート「アッシュ!」
アッシュ「最後でドジっちゃったよベティ。もっと上手く終わらせるハズだったのに」
エリザベート「どういうことなの?」
アッシュ「ご先祖様を「消しちゃった」からネ……たぶんボクは、」
アッシュ「この世界に『存在しなかった」ことになる」
 (徐々に消滅していく、アッシュの身体)
エリザベート「どうして……? こんな勝手なことしたの」
エリザベート「いやよ……連れ戻しに来たのに」
エリザベート「私、あなたを連れ戻しに来たのに!」
アッシュ「ベティ、ごめんね。もう時間がな」
 (そして、「アッシュ・クリムゾンの存在しないはずの時間」が動き出す……)
ローズ「とうございます!」
ローズ「この格調高い大会を主催できたことをバーンシュタイン家は光栄に思います」
ローズ「我々は、永遠に忘れないことでしょう! 輝ける戦士達の王を!」
ローズ「「キング・オブ・ファイターズ」のことを!」

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すべてのチームエンディング

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女性格闘家チームエンディング

 (パオパオカフェでの優勝祝勝会。なぜか香澄やほたる、ジェニーたちの姿も見える)
店内の声「かんぱーい!」
店内の声「おめでとー おめでとー おめでとーございまーす」
「ふー、勝利の美酒はやっぱり格別だわ」
キング「まあ、私たちが本気になればざっとこんなものよ」
ユリ「そうそう! 元祖女性格闘家チームここにあり!」
ユリ「な〜んてね!」
「おーっほっほっほ!」
「世界でもっとも美しくて強いのは私たちというわけね!」
 (ここで雛子爆弾が炸裂)
雛子「ところで〜、みなさんの中では誰が一番お強いんですの〜。」
マリン、香澄、
 ジェニー、シャンフェイ
「!」
キング「そ、それはまあ……一応このチームのリーダーは私なわけだし……」
ユリ「キングさんずるいっチ! ……じゃない、そんなのずるいよ! どさくさにまぎれて!」
「そうよそうよ! キングさんがリーダーなのは、強くて美しいからっていうより、単に年上だからでしょ!」
キング「ちょっ……」
ユリ「それをいうならはじける若さの私が一番てことで決まりじゃん!」
「あなたこそどさくさにまぎれて何いってるの!? 若けりゃいいってもんじゃないでしょ!」
ユリ「年取ってればいいってもんでもないじゃない!」
キング「ちょっとあんたたち、私が年寄りだっていいたいのかい!?」
ヴァネッサ「フッ…… 若いって…… いいわね……」
マリン「だいたいさー、あんたたちが優勝できたのって、ただ運が良かっただけじゃないの?」
ジェニー「そうそう、私が出場していれば、誰が世界一の美女かはっきりしたのに♪」
ユリ「本選に出場もできなかった人たちに、あれこれいわれたくないんですけど=」
シェンフェイ「あ! 私たちのことバカにしたな〜!?」
香澄「ならばここで決着をつけてやる! かかってこい、極限流!」
「上等よ! みんなまとめてかかってらっしゃい!」
ほたる「あの……止めなくてよろしいんでしょうか……?」
 (騒ぎを見ながら、半泣きでカクテルをビルドしているリチャード)
リチャード「…………」
ほたる「……い、いいんですか、ホントに止めなくて?」

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極限流チームエンディング

 (極限流チームの優勝インタビュー。なぜかユリとキングの姿もある)
インタビュアー「なるほど、極限流チームのみなさんが、今大会に掛けた気持ちがよくわかりました!」
インタビュアー「それでは、極限流チームに近しいかたがたにもお話を伺いたいと思います」
インタビュアー「ではまず、ユリ・サカザキさん!」
ユリ「はーい♪」
インタビュアー「KOFの常連選手でもあるユリさんから見て、みなさんの活躍はどのように映りましたか?」
ユリ「みんな本当に頑張ったと思うっチ……じゃなくて、思います」
インタビュアー「なるほど。それではちょっとプライベートなことも……」
インタビュアー「ユリさんにとって、理想の恋人はどんなタイプの方ですか?」
ユリ「そうですね、うーん……」
インタビュアー「身近にタイプの方はいらっしゃいますか?」
 (ロバートが緊張の表情で指輪を取り出す)
ロバート「ユ、ユリちゃ……」
ロバート「☆※◎♪!!!」
 (タクマが驚きの表情を見せた次の瞬間、なぜかロバートが激しく苦悶。タクマに足を踏まれたらしい)
ユリ「そうですね、お父さんより強い人かな」
インタビュアー「なるほど。では理想の結婚相手は?」
ユリ「うーん、そうですねぇ……」
 (能天気に考えるユリの背後で、しかめっ面のロバートとタクマ)
タクマ「むおほん! ユリ、お前にはまだ早……」
タクマ「ふぐあっ!」
 (今度はタクマが苦悶。しかめっ面のロバートに足を踏み返されたらしい)
ユリ「ん〜、これも難しいなー。優しくて、紳士で、キリッとしてて……」
ユリ「そうだ! キングさんみたいな人!」
 (すかさずユリの頭をはたくキング)
リョウ「キングが家族になってくれたら、俺も嬉しいな!」
キング「え? あ、いや……」
ユリ「もー、キングさんたら照れちゃって!」
キング「ちょ、ユリあんた、ご、誤解を招くような言い方は」
リョウ「キング、道場住まいもいいもんだぜ! いつでも修行できるしな!」
ユリ「キングさん、もう決めちゃえば?」
キング「だだだから何を決めるっていうのさ! あんたがそうやってけしかけるから話が」
 (顔を真っ赤にしているキングと、意地悪な笑顔のユリ。
 その背後で、交互に苦悶するロバートとタクマ。ムキになって足を踏みあっている模様)
タクマ「……どうしたねロバート君……ずいぶん顔色が悪いんじゃないか」
 (ロバートとタクマの表情が、引きつった笑顔に変わる)
ロバート「お義父さんこそ……ふ、古傷が痛むんちゃいますか……」
タクマ「……ほ、ほう、いつからわしは、君の父親になったのかな……」
ロバート「ははは、はは」
タクマ「フフ、フフフフ」
リョウ「はっはっは、このチームワークこそが、極限流の強さの秘密だな!」

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「春の朝(あした)」(アッシュ・クリムゾン トゥルーエンディング)

The years at the spring.時は春、
And days's at the morn.日は朝、
Morning's at seven.朝は七時、
The hill-side's dew-pearled.片岡に露みちて、
The lark's on the wing.揚雲雀なのりいで、
The snail's on the thorn.蝸牛枝に這ひ、
God's in his Heaven --神、そらに知ろしめす。
All right with the world !なべて世は事も無し。
ロバート・ブラウニング『春の朝(あした)』上田敏 訳

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