KOF MAXIMUM IMPACT 2

発売機種発売日発売元価格
プレイステーション22006年4月27日発売SNKプレイモア
開発:SNKネオジオ
6800円
プレイステーション2(SNKベストコレクション)2007年5月24日発売2800円
プレイステーション3
(PLAYSTATION(R)Store“ゲームアーカイブス”)
2015年4月15日発売907円

メイン・ストーリー

 サウスタウンで開催された、前回のキング・オブ・ファイターズ――。
 これが、<メフィストフェレス>という一ギャング組織による、対抗勢力の殲滅と活動資金を得るための非合法な格闘大会だったと見る向きは少なくない。
 その決勝の舞台で、“キング”デュークがアルバ・メイラに敗れたことにより、デュークと<メフィストフェレス>はサウスタウンから姿を消した。と同時に、デュークによって押さえつけられていたマスコミも息を吹き返し、くだんの事件について、その情報源も定かではないセンセーショナルな記事をこぞって書き立てた。
 だが、あの大会を開催した<メフィストフェレス>の裏に、さらに巨大な組織が存在していることを知る者は、今はまだほとんどいない。

<アデス>――。

 その名前だけが、裏社会の深い闇の中に、まことしやかに流れている。
 圧倒的な力でサウスタウンを席巻した<メフィストフェレス>さえ、<アデス>が持つ無数の下部組織のひとつに過ぎないという。
 いつ、誰が組織したのか、本拠地がどこにあるのか、どれほどの規模を持っているのか――。
 誰も<アデス>の真実は知らない。

 そして今。
<アデス>の黒く長い手のうちのひとつが、忌まわしい死神の鎌でもって、あらたな闘いの幕を切って落とそうとしていた。

 もうすぐ、死神に魅入られた強者たちのもとへと、白い封筒が届けられることになる。

ユリ・サカザキ ストーリー

「リョウ、ユリ」
 その日、渋い着流し姿で自室から出てきた極限流空手の創始者タクマ・サカザキは、朝稽古で汗を流していた我が子たちを道場に呼びつけた。
 キング・オブ・ファイターズの開催を告げるユリとリョウにあてた招待状が、この道場に投げ込まれてから、すでに半月が過ぎている。
 ユリもリョウも、あすの朝にはそれぞれの最初の試合がおこなわれる会場へ向かって出立することになっていた。
 その前に、武道家としての気構えやら何やら、父からひとくさり説教されるのだろうと、ユリと兄は顔を見合わせて肩をすくめた。

『<メフィストフェレス>とやらは壊滅したが、まだまだこの街の混乱は続くだろう』
 床の間を背にして板張りの床に正座したタクマのかたわらには、サウスタウンでのギャング同士の抗争劇を伝える新聞が置かれている。
『――こうした混迷の時代にこそ、我が極限流空手が真価を問われるはずだ』
 いっときはサウスタウンの裏社会を完全に制圧するかに見えた<メフィストフェレス>が崩壊してから、街はかえって混迷の度合いを増していた。<メフィストフェレス>の支配下にあった無数の組織が自由を取り戻し、<メフィストフェレス>なきあとのサウスタウンの覇権をめぐって激しい抗争劇を繰り広げ始めたからである。
 そのせいか、このところ、格闘技を習おうという人間は多い。
<メフィストフェレス>に骨抜きにされてしまった警察はあてにならない。ならばこの物騒なご時勢、自分の身は自分で守るしかない――セルフディフェンスの必要性を肌で感じている市民たちが、少しずつ増えているのだろう。
 実際、あちこちのジムや道場の門下生募集の広告が、その新聞にも掲載されていた。
 しかし、極限流空手の広告は、そこにはない。

 得々と語っている父をよそに、ユリはそっとリョウに耳打ちした。
「――いってることはいちいちごもっともっていうか、まあまあ立派なんだけど、おとうさん、ちょっと頭カタいのよねー」
「ああ。質実剛健というかアナクロっていうか、オヤジはハデなPRとか軟派な経営方針が大嫌いだからな」
 リョウも溜息混じりに相槌を打つ。
 サウスタウンに少しでも住んだことのある人間なら、いまさら説明するまでもなく、極限流空手の強さは誰でも知っている。
 Mr.BIGやギース・ハワードといった暗黒街の大立者を相手に、これまで幾度となく披瀝されてきた極限の拳、まさに地上最強の空手――。
 だが、そんな抜群の知名度にくらべて、極限流空手の道場経営は決して楽ではない。
 武道かに虚飾は不要と主張するタクマの意向で、よそのジムや道場のように派手な新聞広告を打たず、そのために入門希望者が集まりにくいところへきて、稽古のあまりの厳しさゆえに、数少ない門下生までもがすぐに辞めていってしまうのだ。
 それもこれも、タクマの昔気質な不器用さが原因だった。

「――ちゃんと聞いているのか、ふたりとも?」
 眉をひそめ、タクマはユリとリョウをじろりと睨んだ。
「もちろんよ」
「当然だろ?」
 しれっとしてうなずくふたり。
「要するにあれでしょ? ねえ、おにいちゃん?」
「ああ。とにかく今度の大会で優勝すればいいってことだろう?」
「それはそうだが、ワシがいいたいのは――」
「みなまでいうなよ、オヤジ」
 リョウは片手をあげてタクマの言葉をさえぎると、その手を握り締めて不適に笑った。
「――極限流空手の強さは、俺がこの拳で見事に語ってきてやるぜ」
「わたしとおにいちゃんとで、極限流の強さを世界中にアピールしてきてあげるから、道場のほうはよろしくね、おとうさん」
 兄の言葉を受け、小さくガッツポーズをとってウィンクするユリ。
「う、うむ――」
 自分が言わんとするところをふたりに先取りされて何も言えなくなったのか、タクマはことさらに渋い表情でぎこちなくうなずいただけだった。

「本当に不器用だよなあ、オヤジも」
 道場をあとにしたリョウは、大げさに溜息をついてかぶりを振った。
「確かにお父さんを不器用だけど、おにいちゃんがそういうこというかなあ?」
「は? どうしてだよ?」
「だってねえ――」
 ユリからすれば、父に負けずおとらずリョウも十二分に不器用な男だ。不器用という言葉が悪ければ、世渡りが下手といってもいい。リョウのそれは、完全に父親ゆずりだった。
「いや、そりゃあ確かに俺だって、自分が要領のいい人間だとは思ってないけどな」
 ユリに指摘され、リョウは苦笑いを浮かべて頭をかいた。
「――けど、オヤジのはスジガネ入りだぞ?」
「まあね」
 おそらくタクマは、ふたりの闘いを見て本気で強くなりたい人間、それだけの覚悟を持った人間だけが入門してくれればいいと、そんなことを考えているのに違いない。軽い気持ちで極限流の門を叩く人間など、最初から相手をするつもりはないのだろう。
 その考え方は、武道家としては正しくても、道場の経営者としては完全に失格だった。
「――でもわたし、そういうおとうさんって、けっこう嫌いじゃないんだよね。おとうさんのおかげで昔っからいろいろと苦労させられてるのに」
「ん? なにかいったか、ユリ?」
「ううん、別に〜」
 怪訝そうな顔をする兄をその場に残し、ユリはさっさと自分の部屋に戻っていった。

 コレまでの人生、ユリは兄の庇護のもとで育ってきた。
 父が戻ってきてからは、父に空手を習って、自分の新たな可能性に気付いた。
 これからは、少しでも父や兄のためになにかしてやりたい。
「――ふたりとも、ホントに不器用だもんね。ここはこのユリちゃんががんばって、少しでも練習生を増やさなきゃ」
 今度の大会は世界各地を転戦する長丁場になる。
 ささやかな使命感に人知れず燃えながら、ユリはトランクに荷物を詰め込んでいった。

コラム

 まずは、本作のストーリー関連を担当している小説家・嬉野秋彦氏に感謝。
 これまで一部の「KOF」のチームストーリーやエンディングを書き写す作業は、剥き出しの痛覚を鉄製のヤスリでがりがりと削るかのような苦行だったのですが(ファンサイトなのに……)、本作では久しぶりにストーリーを「無心で書き写す」ことが出来ました。そうだよ! ユリもリョウも、まともな人なんだよ!

 前作に比べてシステム面では大差ないものの、特殊連続技のスタイリッシュアートの増加、プレイヤーキャラクターの増加、既存キャラクターの新技の追加、おまけモードの追加など、前作から大幅にボリュームアップ。
 グラフィックも大幅に綺麗になり、この一本で半年は遊べます。


 わりと美麗だと思うんですよ、ちょっと口元が裂けてるけど。

 前作からの追加キャラクターは、ルイーゼ・マイリンク、ナガセ、ビリー・カーン、クーラ・ダイアモンド。
 隠しキャラとして、B.ジェニー、キム、ニノン・ベアール、ナイトメア・ギース、リチャード・マイヤ、ハイエナ、リリィ・カーン、服部半蔵、フィオ(メタルスラッグ)、ワイルドウルフ(裏テリー)、二代目Mr.カラテ(裏リョウ)、草薙京クラシック、アーマーラルフ。
 そしてボスキャラのジヴァートマ。

必殺技コマンド(★はスーパーキャンセル対応)

必殺技コマンド
★虎煌拳※ + L.P or S.P
覇王翔吼拳※ + L.P or S.P(押しっぱなし)
雷煌拳 + L.K or S.K
★砕破 + L.P or S.P
★百烈びんた + L.K or S.K
空牙
(ユリちょうアッパー)
+ L.P or S.P
裏空牙
(ダブルユリちょうアッパー)
(強・空牙中に) + S.P
闇空牙
(トリプルユリちょうアッパー)
(裏空牙中に) + S.P
夢空牙
(ユリちょうアッパーフィニッシュ)
(夢空牙中に) + L.P + S.P
★超ビール瓶斬り※ + L.P or S.P(タメ可)
※虎煌拳、覇王翔吼拳、超ビール瓶斬りは、モーションの始めにキックボタンを押すと、フェイントになります。
超必殺技コマンド
飛燕鳳凰脚 + L.K or S.K
天翔覇王翔吼拳
(ゲージ二本消費)
+ L.P or S.P
芯!ちょうアッパー
(ゲージ三本消費)
+ L.K or S.K

スタイリッシュ・アート(連続技)コマンド

@LP 〜 LP 〜 LP 〜 SP 〜 +SP (左ストレート→左ストレート→右フック→左ビンタ→左裏拳)
A+LP 〜 +LP 〜 LK 〜 SK (燕翼×2→側転蹴り→リバースムーンサルト)
B+LP 〜 +SK 〜 +SK 〜 +SK (燕翼→背面右上段蹴り→サマーソルトキック×2)
CLK 〜 LK 〜 SP 〜 +SP (右前蹴り→左前蹴り→右ストレート×2)
DLK 〜 SK 〜 SK 〜 +SK (左前蹴り→右後ろ上段回し蹴り×2→しゃがみ右足払い)
E+LK 〜 +SK (左前蹴り→しゃがみ右蹴り上げ→しゃがみ左上段回し蹴り)
F+LK 〜 +LK 〜 SK (左前蹴り→旋回脚(右上段回し蹴り→左上段後ろ回し蹴り)→空中胴回し回転蹴り)
G+LK 〜 +LK 〜 +SK (左前蹴り→旋回脚(右上段回し蹴り→左上段後ろ回し蹴り)→右しゃがみ足払い)
H+LK 〜 +LP 〜 +SK 〜 +SK (左スライディングキック→燕翼→背面右上段蹴り→サマーソルトキック×2)
I+LK 〜 +LP 〜 +SP (左スライディングキック→燕翼→(前転)→立ち上がり左アッパー)
J+LK 〜 +LP 〜 〜 SK (左スライディングキック→燕翼→(後転)→踏み込み左ミドルキック)
K+LK 〜 +LK (右スライディングキック→背面右上段蹴り)
L+LK 〜 +SK (ちょう回し蹴り→右上段回し蹴り)
M+SP 〜 LK 〜 SP 〜 SK (右ストレート→左踏み付け蹴り→伸び上がり左アッパー→左上段後ろ回し蹴り)
N+SP 〜 LK 〜 +SK 〜 +SK (右ストレート→左踏み付け蹴り→右ローキック→左上段後ろ回し蹴り)
O+SP 〜 SP 〜 SP (右ストレート→左ストレート→右フック)
P+SP 〜 +SP (右ストレート→右ショートアッパー)
Q+SP(押し続けでタメ可) 〜 SK 〜 SP (ちょうナックル(左ダッシュストレート)→サマーソルトキック→飛び込みヘッドバット)
R+SK 〜 SK (旋回脚(右上段回し蹴り→左上段後ろ回し蹴り)→空中胴回し回転蹴り)
S+SK 〜 SK 〜 SK (サマーソルトキック→飛び込みヘッドバット→逆立ちキック)

対戦前演出

vs.リョウ・サカザキ リョウ「押ー忍!」
ユリ「うぉーっす!」
vs.八神庵 ユリ「そんなに深刻ぶったって、なんにも良い事ないよ。もっと、笑ったら?」
「死にたいのか、貴様」
vs.ソワレ・メイラ ユリ「ばみょーんっ!」
ソワレ「お、かわい子ちゃん発見! これってひょっとしてラッキー?」
vs.チェ・リム チェ・リム「そこのあなた、私とテコンドーを学んでみませんか?」
ユリ「そういうあなたも、極限流に入門しない? 今ならお月謝、安くしとくよ」
vs.K' ユリ「そんなに深刻ぶったって、なんにも良い事ないよ。もっと、笑ったら?」
K'「チッ……」
vs.ロック・ハワード ロック「極限流か。俺の知り合いにも一人、使い手がいるぜ」
ユリ「そぉ? でも、私の極限流は、一味違うのよ」
vs.デューク ユリ「ばみょーんっ!」
デューク「エスコートが必要かな、お嬢さん。もっとも、私が案内できるのは、地獄だけだが」
vs.Mr.カラテ ユリ「お兄ちゃん!? ど、どうしたの? 急に渋くなっちゃって……」
Mr.カラテ「それじゃあ、始めるか」
vs.ニノン・ベアール ニノン「あなた、誰か呪いたい相手とかいない? 私が呪ってあげるし」
ユリ(驚いてちょっとひいてしまう)
vs.ナイトメア・ギース ギース(腕を組んで堂々と立っている)
ユリ(呆然として)「そんな……」

準決勝&決勝デモ&エンディング

(以下、管理人の耳コピのため、正確でない可能性あり)

vs.ルイーゼ・マイリンク戦前

(ストレッチするユリ)
ルイーゼ「お待たせしちゃったかしら」
ユリ「ぜーんぜん。調度良い具合にウォーミングアップできたし」
ユリ「あなたはいいの? ウォームアップなしで」
ルイーゼ「ええ、私は格闘家じゃないから」
ユリ「はっ? 格闘家じゃないって……どういうことぉ?」
ルイーゼ「さあ、始めましょう」
ユリ「よくわかんないけど、ここに立つ以上は手加減しないよ」

vs.ルイーゼ・マイリンク戦後

ユリ「ついやりすぎちゃったけど、大丈夫?」
ルイーゼ「ええ……見た目よりは、頑丈なの」
ルイーゼ「一つ、あなたにお願いがあるんだけど、聞いてもらえるかしら」
ユリ「お願い? あたしにどうにかできるようなこと?」
ルイーゼ「次の決勝、絶対に負けないで」
ユリ「うーん……絶対に、って言われたら困るけど……」
ユリ「まぁ、バビッとやってみちゃおっかな〜」

vs.ジヴァートマ戦前

(大きな寺院に足を踏み入れるユリ)
ユリ「あれぇ……? 決勝戦って、ここでやるんじゃないの?」
「その通り、ここが最後の舞台だ。そして君の戦いもここで終わる」
(柱の影から登場する怪しげな大男)
ユリ「あなた、誰? ひょっとして、あたしの対戦相手って、あなたなの?」
「ああ、君の対戦相手であると同時に、本大会の主催者でもある」
(大男、一礼)
「クシエルを統べる闇の爪、ジヴァートマと見知りおいていただこう」
ユリ「クシエル? なにそれ?」
ジヴァートマ「この星の闇を支配する秘密結社アデス。そのアデスが持つ無数のペルソナの一つと思ってもらいたい」
ユリ「秘密結社って……今回もまたギャング団が主催だったのぉ?」
ジヴァートマ「メフィストフェレスとクシエルを一緒にして欲しくないものだな」
ジヴァートマ「クシエルとは真に強い者を育成する機関。アデスにとって、最も重要な下部組織の一つだ」
(ユリ、腕を組んで考えながら)
ユリ「結局、よく分からないんだけど……で、どうして格闘大会なんか開いたわけ?」
ジヴァートマ「強靭な肉体を持つ格闘家を集めるため……と言っておこうか」
ジヴァートマ「無論、君が魅力的な女性だからといって、その例外ではない」
(ジヴァートマが指を鳴らすと不思議な空間が出現)
ジヴァートマ「さあ……その肉体を、我々に委ねたまえ」
ユリ「おあいにくさま、わけのわからないギャング崩れに簡単にあげちゃえるほど、あたしって安い女じゃないの!」

vs.ジヴァートマ戦後&エンディング

ユリ「ちょ〜絶好調〜! どぉ? これがあたしの極限流よ!」
(ジヴァートマ、大の字)
ジヴァートマ「なるほど、君の強さは認めよう。今日のところは、私の負けだ」
ユリ「そのアリサマで、どーしてそんな強気のセリフが出てくるわけぇ?」
ユリ「負け惜しみも大概にしておかないと、見苦しいだけだよ」
ジヴァートマ「フッ、いずれ、君もその事実に恐怖することになるだろう」
ジヴァートマ「我々は、不滅なのだよ」
(蒼い光に包まれて消滅するジヴァートマ)
ユリ「うっそ〜、き、消えた〜!?」
(崩れ落ちる寺院)
ユリ「ちょ、ちょっとタンマ〜! キャーーー!」
(ユリ、脱出)
(崩壊した寺院を見上げるユリ)
ユリ「あ〜あ……どうしてこういうことになるのかな〜。せっかく優勝したのに、これじゃきっと中継もされてないし、賞金だって……」
リョウ「こら!」
ユリ「きゃ!」
ユリ「お、お兄ちゃん!? どうしてここに〜?」
リョウ「そんなことはどうでもいい! それよりお前、今の言い様はなんだ!」
リョウ「お前は目立つ為に毎日稽古をしているのか? 金のために稽古をしているのか!?」
リョウ「そんな不純な動機でやっていて、この道を極められると思っているのか!」
ユリ「い、いきなりそんなこと言われても……」
ユリ「って言うかぁ、そもそもお兄ちゃんやお父さんがしっかりしていないのがいけないんでしょう!?」
ユリ「あたしがテレビに映って門下生を集めたりしてるからこそ、まがりなりにも家の道場はやっていけてるんじゃないの!?」
(リョウ、タジタジ。立ち去るユリ)
リョウ「お、おいユリ……」
ユリ「……なーんてね!」
ユリ「お兄ちゃん、本当はユリのことが心配で、見に来てくれたんでしょう?」
リョウ「べ、別に俺は……」
(ユリ、リョウの手をとって)
ユリ「帰ろ、お兄ちゃん」

リョウエンディング

リョウ「分かったかい。これが極限流ってやつだよ」
ジヴァートマ「さすが、と言うべきか。まさか、この私が敗れるとはな……」
リョウ「なんなら、うちの道場で鍛えなおすかい? あんたなら、今よりもっと強くなれそうだが?」
ジヴァートマ「魅力的なお誘いだが……それは、次の機会にしてもらおうか……」
(蒼い光に包まれて消滅するジヴァートマ)
リョウ「き、消えた!?」
(崩れ落ちる寺院)
リョウ「おいおいおい、こんな展開、聞いてないぜ! 優勝セレモニーも抜きなのか?」
(リョウ、脱出)
(崩壊した寺院を見上げるリョウ)
リョウ「まいったなぁ……キング・オブ・ファイターズの常とはいえ、また有耶無耶のうちに幕が降りちまった」
ユリ「お兄ちゃーん!」
リョウ「おう、ユリか」
ユリ「無事だったんだね、お兄ちゃん。なんだか凄いことになってるけどぉ」
リョウ「まぁいつもの展開といえば、いつもの展開だけどな。まともに終わるはずないさ、この大会が」
ユリ「いつもの展開って、えぇ〜? それじゃあもしかして、また〜?」
リョウ「あぁ、また賞金は無しだ。主催者のなんとかという男が、途中で姿をくらましてな」
リョウ「だが、極限流の強さはしっかりと証明してきたつもりだ。あの決勝戦での俺の戦いぶりを見れば、入門者も倍増、間違いない!」
ユリ「まぁ、お兄ちゃんのその強さを見てれば、そういうこともあり得たかもね……」
リョウ「なにぃ? どういう意味だよ、それ?」
ユリ「それが、今大会の中継自体が公共の電波をジャックした非合法なものだったみたいで、準決勝の途中で砂嵐になっちゃって……」
リョウ「なにぃ!? それじゃまさか、肝心の決勝戦は!?」
(頷いたあと首を横に振りながら)
ユリ「ぜ〜んぜん中継されてませぇ〜ん」
リョウ「なんてこった……。親父になんて報告すりゃいいんだ……」